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「大奄美史」紀行

   奄美大島の史跡を訪ねます。

奄美の神社(1) 鳥居について

奄美大島を巡ってみて意外に思ったのが神社の多さです。このブログに載せているのを数えてみると55社ありました。いわゆる「グンギン」のような神社と呼んでいいのかどうか迷うものもありますが、ここでは数に入れています。時間がなかったり、場所が分からなかったりで、まだ行っていない神社もたくさんあります。

私が住んでいるところ(首都圏近郊)では、街道に沿ってしばらく歩いていると必ず神社かお寺(あるいは御堂)にぶつかりますが、これが奄美大島では、北部なら神社か教会、南部(加計呂麻含む)ならミャーか神社ということになります。

神社のシンボルと言えば鳥居ですね。鳥居さえあればそこに神社のあることがすぐ分かります。鳥居をくぐれば何となくここから先は神様の領域というのを感じます。鳥居のマークは神社の地図記号でもあります。そこで今回は奄美大島の鳥居についてまとめてみました。

鳥居は神社の入り口を示す一種の門で、神社の建築物の中では非常に単純な構造をしています。普段はあまり気にもしていませんが、よく見ると形や大きさ、色、材質など千差万別で、同じものは滅多にありません。

☆鳥居の型
大別すると神明系の鳥居と明神系の鳥居に分けられるそうです。神明系は基本的に直線で構成される素朴な構造で、日本古来の伝統を残すものです。明神系は仏教建築の影響を受けて装飾性が強くなっています。

訪れたことのある神社の鳥居を写真を見ながら分類してみようとしましたが、これがなかなか大変な作業というのがやってみて分かりました。テキストにあるようなパターンに当てはまらない鳥居がたくさんあります。そもそも神明系と明神系を何で分けるのか、資料によって書いていることが違っていたりします。とはいうもののとりあえず無理やり分類してみたところ、鳥居の総数63基のうち、明神系が39基で、少なくとも60%以上は明神系であることが分かりました。

これは神明系と明神系の鳥居の典型例です。

南洲神社(神明鳥居)

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簡素な造りですが堂々とした風格があります。

大勝・厳島神社(明神鳥居)

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笠木の下に島木があって両端が反っています。貫は突き抜けていて中央に額束がある典型的な明神鳥居で、大島でもこのタイプのものが多く見られます。

☆祭神と鳥居
神社によって建てる鳥居の種類がある程度決まっているのかと思っていましたが、ほとんどそういう決まりはないようです。寄贈者の好みや予算などで自由に決めているのでしょうか。高千穂神社や厳島神社などは、奄美大島にいくつもありますが、どちらの型の鳥居も存在しています。それどころか1つの神社に2基の鳥居がある場合、両方の型が混在するケースもあります。

名瀬・高千穂神社 参道入口の鳥居(明神鳥居)

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同じく境内入口の鳥居(神明鳥居)

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古仁屋・高千穂神社 参道入口の鳥居(明神鳥居)

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同・境内入口の鳥居(靖国鳥居)

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名瀬の高千穂神社とは違って、貫の断面が長方形になっています。神明系の中でも靖国鳥居という種類のようです。注連縄が張られていてここから先は神域です。鳥居脇には「下乗」の指示があります。

☆ちょっと珍しい鳥居
須野・厳島神社には両脇に柱がついた鳥居があります。

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最初は三輪鳥居かと思ったのですが、よく見ると向きも形も三輪鳥居とは違っています。どちらかと言えば両部鳥居(の後ろ側がないもの)に近いようです。有名な宮島の厳島神社が両部鳥居ですね。この神社の由緒がよく分からないので、なぜここだけにこういう鳥居があるのか不明です。

☆鳥居の数
蒲生神社には4基の鳥居があり、大島で見た中ではこれが一番多いですね。建てた時期は明らかに違うし、大きさ、色などもみんなまちまちですが、鳥居の型だけは共通しているようです。

逆に鳥居のない神社もあります。大親神社は与湾大親を祀る神社で、参道も境内もきれいですが、なぜか鳥居がありません。元はあったのかも知れません。宇検高千穂神社にも鳥居がなかったと思いますが、もしかしたら記憶違いかもしれません。

また加計呂麻島に多いグンギン(権現)には、鳥居のあるものとないものがあります。ある場合でも比較的小規模なもので、背後が急坂になっていて登りきると自然石や小さい祠が建っているのが一般的です。

渡連のグンギンの鳥居

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このタイプの鳥居は結構多く見られます。簡素な造りで神明系だと思いますが、中央に額束があるのでちょっと分類しづらいです。


☆参道の長い神社
湯湾嶽(神社名は不明)は1つ目の鳥居を通ってから頂上近くの2つ目の鳥居まで急いでもたっぷり45分かかります。

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参道入口の鳥居に注連縄があるので、単に案内のために建てているのではなく、ここから先は聖域ということでしょう。山全体が神様の地なのかも知れません。

 

☆鳥居の色
調べた中では白あるいは無色(元は白?)が大半で、赤色が大体3分の1くらいですね。
変わったところでは笠木の先の反りの部分だけが赤のものがありました。

須古茂・厳島神社

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赤以外では黄色い鳥居もあります。

瀬相権現神社

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黄色に特に宗教的な意味があるとも思えませんから、建てた人たちの好みなのでしょうか。

 

鳥居はどんどん新しいものに建て替わっている ので、現在の姿だけでは分からないことも多いのかも知れません。