「大奄美史」紀行

   奄美大島の史跡を訪ねます。

阿世知牧直之碑 (安木屋場)

龍郷の方から今井崎の峠を越えて海岸まで降りてくると、海を背にして石碑が建っている。

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石碑には「島唄の名人 阿世知牧直の碑」とある。ベンチなどが置かれていて小さな公園のようになっている。建てられてそれほど日が経っていないようで、まだ新しくてきれいだ。右側に「夕陽のふるさと」と書いた小さな柱が立っている。東シナ海の水平線に沈む夕陽が美しいのだろうが、あいにく今は昼間なのでどうしようもない。


左側に歌碑。

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真白しら浜に 踊りする 女童(めわらべ)
  色やしろじろと まくろかしら
女童 西からどいもんにゃ東からどいもんにゃ
     汝(な)きやがれ生れ島 教(ゆ)して給れ
西からもあらん 東からもあらん
  龍郷 安木屋場ぬ 石の穴(む)から
荷負(にお)し馬ば立てて 汝(な)きやに 好(よし)まれて
  吾んよりももぞさ 馬ぬもぞさ

牧直(1814年~1864年推定)は島津藩時代の後期、安木屋場で生まれ、そこで生涯を閉じた民衆詩人である。

『大奄美史』では、大島の即興詩人の中でも特に知られた人として、笠利の鶴松とこの龍郷の牧直を挙げている。あるとき所用で他村に出かけときに、白浜で大勢の娘たちが楽しそうに八月踊りを踊っているのに出くわした。大自然の中で無心に踊る乙女たちの美しい光景に心を打たれた牧直が、娘たちと交わした歌問答が紹介されているが、上の歌碑にあるのはそのときのものである。

 

ここからの景観もなかなかのもので、右手の方には、堤防の先に大きな岩が見える。立神だろうか。

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じぐざぐの防波堤も、神につながる道(あるいは神様の通る道)のように見えてしまう。